退職後や子育てが一段落し、自分のための時間が増えてきたという方の中には、近場の日帰り温泉から少し足を延ばした一泊旅行まで、温泉を楽しむ機会が増えてきたという方も多いのではないでしょうか。何気なくお湯につかるだけでも心と体がゆるむものですが、せっかくなら、その時間をもう少し深く味わってみたいとも思えてきます。
そこで今回ご紹介したいのが、「温泉ソムリエ」という資格です。温泉の正しい知識と、安全で効果的な入浴法を学べる資格で、特別な受験資格もいらないため、50代・60代からでも気軽に挑戦しやすいもののひとつといわれています。運営団体である温泉ソムリエ協会の公式情報をもとに、その内容を見ていきます。
目次
温泉ソムリエとはどんな資格なのか
温泉ソムリエは、新潟県妙高市の赤倉温泉で2002年(平成14年)11月に発足した制度です。運営する温泉ソムリエ協会によれば、認定者はすでに3万名を超えている(2024年9月時点)とのことです。もともとは温泉地で働く人たちが、お客様に温泉の魅力や正しい入浴法を説明できるようにという目的で始まった制度だそうですが、温泉愛好家からの要望を受けて、一般の人も受講できるように門戸が開かれた経緯があるそうです。
学ぶ内容は、温泉法に基づく「温泉」の定義や、温泉分析書の読み解き方、日本に多い泉質の特徴、そして安全な入浴法など。ワインの「ソムリエ」のように、温泉についての知識を体系的に身につけ、より深く楽しむための資格、と位置づけられているようです。
受験資格、費用、日程
温泉ソムリエ協会の公式情報によれば、受験資格は特になく、どなたでも挑戦できます。資格の取得方法は大きく分けて二つ用意されています。
- 温泉ソムリエ認定セミナー(会場参加型):受講料28,600円(税込)。新橋・浜松町など全国各地で開催され、受付12:30、セミナーは12:50〜17:00。
- 温泉ソムリエ認定講座(オンライン講座):受講料は認定料・認定証発行料等を含め総額28,600円(税込)。受講期間は5か月で、自宅のパソコンやスマートフォンで受講できる。
どちらも、公式テキストに沿った講義を受けたうえでオンラインテスト(オンライン講座の場合は25問)に取り組む形式で、合格すると認定証とデジタルバッジが発行されるそうです。会場に出向くか、自分のペースで自宅学習するか、ライフスタイルに合わせて選べるのも、挑戦しやすいポイントではないでしょうか。

学習内容とかかる時間
オンライン講座の場合、講義の総時間は3時間29分54秒で、あわせて458ページ(2022年9月版)のテキストが付属します。内容は全7章に分かれており、「温泉ソムリエとは」「温泉分析書とは」「『美人の湯』とは」「温泉の選び方」「正しい入浴法」「泉質名のつき方」「単純温泉の魅力」といった構成になっています。1章あたりの講義時間は10分前後のものから1時間半を超えるものまで幅があるため、まとまった時間が取りにくい方でも、すきま時間に少しずつ区切って視聴しやすいつくりになっているようです。
質問への対応はあるものの、添削指導はなく、学校の試験のように厳しく評価されるものではありません。これまで温泉が好きで通ってきたという方であれば、興味を持って取り組める範囲ではないでしょうか。
正しい入浴法を知ることの意味
温泉ソムリエ協会によれば、入浴が原因で亡くなる方は、日本国内で年間約1万5千人にのぼるとされ、これは交通事故による死者数の3倍以上にあたるといわれています。ヒートショックや長湯による脱水など、正しい知識があれば防げたかもしれない事故も少なくないようです。
温泉ソムリエの講座では、こうした「正しい入浴法」についても丁寧に扱われています。自分自身の健康を守るためだけでなく、同世代の家族や友人に、安全な入浴の仕方を伝えられるようになることも、学ぶ意味のひとつといえそうです。

アクティブシニアに向いている理由
温泉ソムリエは、就職や転職に直結するような資格ではありません。しかし、定年後や子育てを終えた時間に、新しいことを学ぶ楽しみそのものが、日々の生活に張りを与えてくれるのではないでしょうか。温泉分析書を読み解けるようになると、旅先で立ち寄った温泉の泉質や効能を自分の目で確かめられるようになり、これまでなんとなく入っていた温泉が、まったく違う楽しみ方に変わるかもしれません。
また、資格を通じて得た知識は、旅行の計画を立てる際にも役立ちそうです。家族や友人との温泉旅行で、泉質や効能について少し話せるようになれば、会話のきっかけにもなり、同行する人たちと過ごす時間もより豊かなものになるのではないでしょうか。
温泉ソムリエは、合否を厳しく競うような資格ではなく、好きなことをより深く知るための学びの機会といえるかもしれません。これから温泉旅行の計画を立てる機会があれば、まずは公式サイトで開催日程や講座の内容を確認してみてはいかがでしょうか。
参考資料
情報確認日:2026年10月5日
